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神経心理学懇話会のお世話をすることになり,先ずシンポジウムのテーマえらびが焦眉の問題となりました。といいますのは例年9月の懇話会の開催を,世界神経学会のために2ヵ月繰り上げざるをえなかったためです。そこでこれまでのシンポジウムのテーマをあげますと,
第2回(金沢医大 鳥居教授):Disconnexion Syndromes
第3回(東大 豊倉教授):漢字・仮名問題を中心として
第4回(京大 大橋教授):失行を中心として
がとりあげられていました。そこで視覚失認をテーマにと考えましたところ,世話人の方々の大方の賛同も得ましたので視覚失認としました。しかし視覚失認のすべてを対象とすることは到底無理ですので,純粋失読と視空間失認をはずすことにしました。その間の経緯は,この特集の中の大橋先生の「視覚失認論の展望」に述べられている通りです。
テーマの大まかな決定に続いてシンポジウムでとりあげる病態とシンポジスト・ディスカッサントを選ぶことに移りました。視覚失認の代表ともいうべき物体失認をとりあげることは当然として,形態認知の特殊型として劣位半球との関連が取沙汰されている相貌失認,更に色彩失認を論じていただくことにしました。これらに加えてより要素的なレベルの障害の1つである視覚保続を,また高次の知性障害との関係が問題となっている同時失認をもとりあげることとし,これらを各論とすると,それに対する総論として「視覚失認論の展望」を冒頭におくことにしました。また神経心理学が本来学際的色彩の濃い学問であることに鑑み,関連分野の1つである神経生理学の今日的知見から視知覚を解析していただくことも考慮し,これらサブテーマについて精力的に発表されている方々にシンポジスト・ディスカッサントをお願いすることにし,以下のような構成としました。なお一般演題のうちシンポジウムに関連する演題が11集まり,それぞれのセクションに加えました。
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