Japanese
English
研究と報告
森田療法における入院期間,入院時年齢,罹患年数およびその他の要因の治癒に及ぼす影響
The Influence of the Duration of Hospitalization, the Age on Admission, the Duration of Symptoms and Others on the Outcome of the Patients Treated by Morita Therapy
鈴木 知準
1
,
片岡 晴雄
2
,
唐沢 治
3
Tomonori Suzuki
1
,
Haruo Kataoka
2
,
Osamu Karasawa
3
1鈴木知準診療所
2明星大学経済学科
3東京大学医学部
1Suzuki Clinic
2Dept. of Economics, Meisei Univ.
3School of Medicine, Tokyo Univ.
キーワード:
Morita Therapy
,
Neurosis
,
Shinkeishitsu-type neurosis
,
Individual variability
,
Prognosis
Keyword:
Morita Therapy
,
Neurosis
,
Shinkeishitsu-type neurosis
,
Individual variability
,
Prognosis
pp.299-307
発行日 1982年3月15日
Published Date 1982/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203391
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抄録 われわれは,神経症の治癒過程における個体差について,統計学的に一応独立要因とみなし得る3要因,すなわち,入院時年齢,罹患年数,入院期間別に資料を層別化して調べた。その結果つぎのことが判明した。一般に入院時年齢の低いもの,罹患年数の短いもの,入院期間が十分であるものの方が治癒成績が良い。また,ヒポコンドリーでは,長期罹患,高年齢のものに,うつ性の因子をもつものが混入する傾向がみられた。
さらに,上記3要因以外の治癒に及ぼす要因をさぐるために,マッチドペアによる事例研究を行った。その結果,他の要因として,入院時における症状の軽重(これは患者の性格傾向が関与する場合が多いと考えられる),入院中における森田療法的環境作業に入り切る態度(これは主として治療者対患者の人間関係から展開してくる)が関係していることがわかった。すなわち,上記3要因はほぼ等しくとも,症状の重い場合は,予後が悪く,さらに森田療法的環境作業に入り切らないものは全治に至るまでに長期間を要する傾向があることがわかった。
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