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古典紹介
V. E. v. Gebsattel—離人症問題に寄せて—メランコリー理論への一寄与—第2回
V. E. v. Gebsattel: Zur Frage der Depersonalisation: Ein Beitrag zur Theorie der Melancholie〔Nervenarzt 10;169—178, 248—257, 1937〕
木村 敏
1
,
高橋 潔
2
Bin Kimura
1
,
Kiyoshi Takahashi
2
1名古屋市立大学医学部神経精神医学教室
2尾西病院
1Dept. of Neuropsychiatry, Nagoya City Univ. School of Medicine
2Bisai Hospital
pp.1293-1304
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203356
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人格感喪失(Depersonalisation)の問題について
空虚症状の状態的側面に目を向けてみよう。
本来,空虚症状を状態的側面と対象的側面とに分けるのは便宜的なことである。問題は,どのように内側の空虚が外側の空虚に,つまり人格感喪失が現実感喪失に対応しているかではなくて,疎隔感をもっぱら世界にだけ,ときには世界の諸部分にだけ向けて体験する患者もいれば,あるいはそれをもっぱら自分自身にだけ向けて体験する患者もいるというようなことがどうして起こりうるのかということ―この注目すべき事実はとりわけMayer-Grossが指摘している(前記参照)―である。しかしこの問題はここで論じるには大きすぎる―Br. L. が何回も繰り返して,外側の空虚は「内側の空虚が事物に反映したもの(Projektion)」であり,世界との結びつきの無さは,自分自身との結びつきを欠いていることの結果であると訴えていることだけで十分だろう。
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