Japanese
English
研究と報告
離人症と妄想知覚
Depersonalisation und Wahnwahrnehmung
越賀 一雄
1
K. KOSHIKA
1
1大阪医科大学神経科教室
1Department of Psychiatry, OSAKA Medical College
pp.787-792
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200154
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Ⅰ.
すでにしばしば論じたように,われわれは常に精神病理学と大脳病理学との間に橋をかけんとして,両者を時空間体験の異常という見地から考察して両者を統一的に説明しようとしているのである。
そこでわれわれは時間と空間,あるいは内(Innen)と外(Draussen)との結合する点としての「現実」から両者をながめ,その「現実」から時間の側に脱落するところに種々の精神病理学的現象が生じ,一方空間の側に向かつて転落するところに大脳病理学的症状が結果すると考えているのである。これについては著者の「時空間体験の異常」(異常心理学講座第2巻,みすず書房)を参照されたい。誤解をさけるために強調しておかねばならないことは,われわれは決して別々に独立した存在として「精神」とか「大脳」を考えているのではなく,元来具体的に1つに結合したもの,根源的に一なる実在,現実から一方たとえば精神を抽象するときそこに脳が,脳を抽象するときそこに精神が単に考えられうるにすぎないということである。
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