Japanese
English
研究と報告
神経性食欲不振症患者にみられたCT上の可逆性脳萎縮像
Reversible Cerebral Atrophy by Computed Tomography in Patients with Anorexia Nervosa
喜多 鈴江
1
,
百溪 陽三
1
,
安井 昌之
1
,
東 雄司
1
Suzue Kita
1
,
Yozo Momotani
1
,
Masayuki Yasui
1
,
Yuji Higashi
1
1和歌山県立医科大学神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Wakayama Medical College
キーワード:
Anorexia nervosa
,
Computed tomography
,
Reversible cerebral atrophy
,
Electroencephalography
,
Edema
Keyword:
Anorexia nervosa
,
Computed tomography
,
Reversible cerebral atrophy
,
Electroencephalography
,
Edema
pp.697-705
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203282
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抄録 神経性食欲不振症と診断された3例の臨床症状とCT像および脳波所見について対比検討した。るいそうが著明となり末梢に浮腫が出現した際,CTでは2例に脳溝および脳室の拡大,1例に脳溝の拡大が認められ,脳波は全例低振幅徐波化を示した。しかしながら,栄養状態の改善とともに,CT上の脳萎縮像は消失し,脳波も振幅が増大し,律動的α波が出現した。すなわち,浮腫とCT上の脳萎縮像および脳波の低振幅徐波化は長期的にはかなりの相関を示した。本症におけるCT上の可逆性脳萎縮像の成因としては,大脳皮質深層部での水分の喪失,再獲得が推定され,膜透過性減少の問題が何らかの形で関与しているものと思われる。脳波の低振幅徐波化の原因に関して詳細は不明であるが,脳の全般的な機能低下および心収縮能の低下に伴う脳血流量の減少,低酸素症などが考えられる。
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