Japanese
English
研究と報告
テタニーと高度な肝機能障害を呈した神経性無食欲症の1例
A Case of Anorexia Nervosa Associated with Tetany and Severe Liver Injury
坂口 守男
1
,
白井 俊由
2
,
百溪 陽三
1
,
吉益 文夫
1
,
東 雄司
1
Morio SAKAGUCHI
1
,
Toshio SHIRAI
2
,
Youzou MOMOTANI
1
,
Fumio YOSHIMASU
1
,
Yuji HIGASHI
1
1和歌山県立医科大学神経精神医学教室
2和歌山県立医科大学第一内科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Wakayama Medical College
2Department of First Internal Medicine, Wakayama Medical College
キーワード:
Anorexia nervosa
,
Tetany
,
Liver injury
,
Starvation
Keyword:
Anorexia nervosa
,
Tetany
,
Liver injury
,
Starvation
pp.1081-1087
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903534
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【抄録】 著明なるいそうを来し,様々な身体的異常所見を呈した神経性無食欲症の1例を報告する。症例は30歳女性で約13年間,やせが持続し自力歩行困難となり入院した。経過中にテタニー発作があり,入院後の諸検査では肝機能障害(GOT 3,340U/l,GPT 1,950U/l,LDH 2,357U/l,γ-GTP 191U/l),貧血,低コレステロール血症などが著しかった。テタニーについてはTrousseau徴候の陽性期間中,ビタミンDの低値,低Ca血症,低P血症が認められ,ビタミンD欠乏性テタニーと考えられた。高度の肝機能障害については輸液と栄養補給を開始すると回復に向かったことより体重減少に基づく飢餓のメカニズムが推測され,その他の異常所見についても体重の増加と共に改善傾向にあり,低栄養に起因していたと考えられた。精神的治療は支持的,共感的対応を心がけながら認知の修正を図った。
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