Japanese
English
研究と報告
精神症状のみを主症状とし,予後良好であった脳室内穿破を伴う脳内出血の4例
Four Cases of Secondary Intraventricular Hemorrahage with Only Psychiatric Symptoms That Have Taken a Favorable Course
佐々木 高伸
1
,
森田 博方
1
,
好永 順二
1
,
井手下 久登
1
,
引地 明義
1
Takanobu Sasaki
1
,
Hironori Morita
1
,
Junji Yoshinaga
1
,
Hisato Ideshita
1
,
Akiyoshi Hikiji
1
1社会保険広島市民病院神経科
1Department of Neurology, Hiroshima City Hospital
キーワード:
Amnestic syndrome
,
Clouding of consciousness
,
Intracerebral hemorrhage
,
Intraventricular hemorrhage
,
CT scan
Keyword:
Amnestic syndrome
,
Clouding of consciousness
,
Intracerebral hemorrhage
,
Intraventricular hemorrhage
,
CT scan
pp.593-598
発行日 1981年6月15日
Published Date 1981/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203270
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 一見痴呆様の精神症状のみを主症状とし,神経学的局所症状を欠き,極めて予後良好であった脳室内穿破を伴う脳内出血の4例を報告し考察を加えた。
4例の内訳は左尾状核出血2例,左視床出血1例,左側脳室三角部内側出血1例でいずれもCTスキャンにて初めて病態が把握された。これらの症例は出血部位は様々であるのに記銘力低下,判断,認識の誤り,失見当識を中心に作話も出現するという共通の精神症状のみが前面に出ており,脳室近傍の小出血が脳室内に穿破することにより,局所の脱落症状が少なくて済み,脳室内出血による脳機能低下に基づく健忘症候群が前面に出たものと考えた。一方臨床的には,比較的急激に出現して来た"ボケ"様の精神症状(健忘症候群)を常に意識障害の観点からみることが重要であると同時に,早期にCTスキャンによるスクリーニングが必要であると思われた。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.