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古典紹介
Adhémar Gelb und Kurt Goldstein—色名健忘について—並びに,健忘失語一般の本性と,言語と外界への行動との間の関係についての研究—第1回
Adhémar Gelb und Kurt Goldstein: Über Farbennamenamnesie--nebst Bemerkungen über das Wesen der amnestischen Aphasie überhaupt und die Beziehung zwischen Sprache und dem Verhalten zur Umwelt (Psychologische Analysen hirnpathologischer Fälle, X)〔Psychol. Forsch., 6; 127-186, 1925〕
波多野 和夫
1
,
浜中 淑彦
2
Kazuo Hadano
1
,
Toshihiko Hamanaka
2
1大阪赤十字病院精神神経科
2京都大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka Red Cross Hospital
2Dept. of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kyoto Univ.
pp.301-309
発行日 1981年3月15日
Published Date 1981/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203237
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健忘失語amnestische Aphasieに向けられた研究や議論は極あて多いにもかかわらず,この障害の本性や発現については未だ十分に満足すべき理解には到達していない(原注1)。健忘失語における障害は純粋に言語的なものでも純粋に概念的なものでもなく,常に問題とされる言語と思考の両者の関連にまたがった障害であるという点では,大方の見解の一致が得られていると言ってもよいだろう。まさしくこの故にこそ,健忘失語の解明は極めて困難な問題ではあるけれども,また一方で健忘失語の理解を深めようとする全ての分析は,それによって言語と思考という問題の解決に一歩でも近づくという更に一般的な意味を有するわけである。
我々はこの研究を物品に対する喉語障害からではなくて,色彩に対する喚語障害―すなわち色名健忘Farbennamenamnesie―から始める。それというのも後述するように,この障害の本性は色彩において特別に明瞭に露呈するという事情があるからである。
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