Japanese
English
研究と報告
Flunitrazepam投与による健忘と異常行動
Amnesia and Abnormal Behavior Caused by Flunitrazepam
杉浦 麗子
1
,
植本 雅治
1
,
西野 直樹
1
,
中井 久夫
1
Reiko SUGIURA
1
,
Masaharu UEMOTO
1
,
Naoki NISHINO
1
,
Hisao NAKAI
1
1神戸大学医学部精神神経科
1Department of Psychiatry, Kobe University School of Medicine
キーワード:
Flunitrazepam
,
Abnormal behavior
,
Amnesia
,
Paradoxical reaction
Keyword:
Flunitrazepam
,
Abnormal behavior
,
Amnesia
,
Paradoxical reaction
pp.185-190
発行日 1994年2月15日
Published Date 1994/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903609
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【抄録】 睡眠導入剤flunitrazepam 4mg服用後約1時間経過した時点から,異常行動を呈し,翌朝には前向性健忘を呈した3症例を経験した(症状精神病1例・精神分裂病2例)。3症例に共通して,服薬約1時間後より入眠困難・焦燥感を訴え,多弁・多動となり,次第に興奮性・攻撃性が高まり,俳徊・脱抑制的な言動を呈した。これらの症状は,日中の精神症状が改善・安定傾向にあるのとは対照的であった。3症例ともに,flunitrazepamを中止あるいは減量し,短時間作用型のbarbiturate系の睡眠導入剤に置換することにより,異常行動の発現は消退した。benzodiazepine系薬物の副作用である奇異反応は,健常人であれば明らかに異常行動とみなされる言動が,精神科入院患者においては,単に〈精神症状の増悪〉として看過され,抗精神病薬のoverdoseや眠前薬の追加投与といった不適切な対応につながる危険性をはらんでいることを強調した。
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