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特集 老人の精神障害—東京都精神医学総合研究所,第6回シンポジウムから
予後と治療について
Psychiatric Disorders in Old Age: Prognosis and Treatment
加藤 雄司
1
Yuji Kato
1
1明治学院大学社会学部社会福祉学科
1Faculty of Social Welfare, Department of Sociology, Meiji Gakuin University
pp.847-855
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202971
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I.はじめに
このシンポジウムで筆者に与えられたテーマは,老人の精神障害の治療と予防に関する問題である。ここでいう「老人の精神障害」の中には,老化,ことに中枢神経系および中枢神経系の血管の病的な老化に伴う精神障害,すなわち器質性の精神障害と,このような意味での病的老化とは直接的には結合しない,いわば非老化性,機能性の精神障害とをともに含むことになる。長谷川,松下,小柳の3講師は,このうちことに病的老化に基づく,器質性の,臨床的には痴呆を中心症状とする疾患について,その疫学,臨床,病理,さらには中枢神経系の病的老化の超微形態にわたる広範なお話をされたが,筆者は機能性の精神障害をも併せて述べたい。しかしながら,このような前提に立つとこの中に含まれる疾患,病態は極めて広いものとなり,その全体を網羅して限られた時間内で述べることはできないのでPittの最も簡単な分類8)に即して老人の精神障害の代表的なものに限ってその治療を中心に,予防と予後とも結びつけながら述べたいと思う。
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