Japanese
English
研究と報告
語義失語(井村)に類縁な失語症状を呈した初老期痴呆の1症例
A Case of Presenile Dementia with Aphasia Similar to Gogi Aphasia (Imura)
地引 逸亀
1
,
倉知 正佳
1
,
遠藤 正臣
1
,
山口 成良
1
Itsuki Jibiki
1
,
Masayoshi Kurachi
1
,
Masaomi Endo
1
,
Nariyoshi Yamaguchi
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Kanazawa University School of Medicine
pp.43-52
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202877
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語義失語は音声言語における語義理解の障害を中核とする超皮質性感覚失語の一型で,漢宇の読み書きの困難さと仮名の容易さの明瞭な対照から成る書字言語障害の形を特徴とする本邦固有の失語型である。
本症例は初老期痴呆(Pick病)と思われる1例であるが,上記の臨床像を有することから語義失語の類型とみなされた。ただし過去の報告例と比べて言語表出面で多弁さや文意障害がみられないこと,また漢字の書取りや音読の際に錯書や錯読がほとんどみられぬ点が特異的である(いわゆる語義失語に独特な漢字の類音的な錯書や音訓の混同から成る錯読はみられない)。進行性脳萎縮による語義失語およびそれに類縁な症例の詳しい報告は過去にみられないことからここに報告し,症状全般について過去の報告例と比較検討するとともにその相違点について若干の考察を行なった。
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