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Diagnostic and Statistical Manual Ⅲ(D. S. M. Ⅲ)—新しい米国精神医学診断基準
丸田 俊彦
1,2
Toshihiko Maruta
1,2
1慶応義塾大学医学部精神神経科教室
2メイヨ・クリニック精神科
1Dept. of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine
2Consultant in Psychiatry, Mayo Clinic
pp.1145-1149
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202840
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I.はじめに
D. S. M. Ⅲは,Diagnostic and Statistical Manualof Mental Disorder,Edition Ⅲの略称で,1952年の初版以来,1968年の第二版に続く2度目の改訂である。D. S. M. Ⅰ. とD. S. M. Ⅱ1)が,試験的実施(Field Trial)を行なうことなく,「各界権威の合意による最終案」として発表されたのに対し,今回の改訂にあたっては,N. Y. State Psychiatric InstituteのR. L. Spitzerを中心とした,D. S. M. Ⅲ特別委員会が設置され,最新の臨床,研究データをもとに草案を作成,それを各方面(各専門分野のみならず,各地域,各人種など)の研究者,臨床医が実際に使用(Field Trial)し,更に,そのフィードバックをもとに草案の修正を繰り返すという,より"民主的",より"科学的(統計学的)"な方法がとられている。1974年9月に委員会が発足して以来,議論の白熱化する中で,第一次草案2)が4月15日(1977)に発表されたが,この草案は,すでに第一期試験的実施(Field Trial)データ,および最新の研究データをもとに書き替えが進められており,例えば4月15日時点で,Schizophrenic Disorderのもとに分類されていたSchizoaffective Disorder3,4)は,10月15日時点においては別項目となっている(表1参照)。
本論文は,この作成途上にあるD. S. M. Ⅲの基本内容と,これからの方向を論じたものである。
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