Japanese
English
研究と報告
抗てんかん薬服用者の臨床検査所見—γ-GTP,アルカリフォスファターゼ,血清Ca値を中心として
Serum γ-Glutamyl Transpeptidase, Alkaline Phosphatase and Calcium Levels in Epileptics Receiving Anticonvulsant Therapy
竹下 久由
1
,
山根 巨州
2
,
古賀 五之
3
,
岡崎 哲也
4
,
川原 隆造
1
,
田村 辰祥
1
,
挾間 秀文
1
Hisayoshi Takeshita
1
,
Norikuni Yamane
2
,
Itsuyuki Koga
3
,
Tetsuya Okazaki
4
,
Ryuzo Kawahara
1
,
Tatsuyoshi Tamura
1
,
Hidebumi Hazama
1
1鳥取大学医学部神経精神医学教室
2島根県立中央病院精神神経科
3西川病院
4島根県立湖陵病院
1Dept. of Neuropsychiat., Tottori Univ. School of Med.
2Dept. of Psychiat., Shimane Prefectural Central Hospital
3Nishikawa Hospital
4Shimane Prefectural Koryo Hospital
pp.999-1009
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202821
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
てんかんの治療は薬物療法が主体で長期間にわたる規則的な服薬が原則とされ,しかも日常診療上2種類以上の抗てんかん薬の併用を余儀なくされることが多い。したがって抗てんかん薬の使用にあたっては,生体にとって好ましくない副作用の発現に十分な注意が払われなければならない。
これまで抗てんかん薬による副作用として一過性の中毒症状のほかに,肝機能障害,造血器官障害,骨病変,免疫機能抑制,催奇形成などが知られており25),血液検査でも前記副作用と関連して血清アルカリフォスファターゼの活性上昇15,34),血清カルシウムの低下11,14),血清無機リンの低下13,24),γ-GTP(γ-glutamyl transpeptidase)の活性上昇1,28,30),葉酸の欠乏21),免疫グロブリンA(IgA)の低下35)などが報告されている。しかし現在までのところ,これらの検査項目の異常値出現に関与する成因については十分に明らかにされておらず,また検査項目相互の関連性などについても不明な点が多い。著者らは抗てんかん薬の投与を受けている外来通院患者に種々の尿・血液検査を施行し血清γ-GTPの活性上昇,血清カルシウム値の低下,血清アルカリフォスファターゼの活性上昇などを認めたので,これらの異常値出現に関与すると思われる状況要因や,検査項目間相互の関連性などにつき検討し若干の考察を加えて報告する。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.