巻頭言
大学精神医学と地域精神医学
山口 成良
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
pp.232-233
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202729
- 有料閲覧
- 文献概要
昨年8月末から9月にかけて,ホノルルで行なわれた第6回世界精神医学会に出席する途次,北陸の精神科医を主とした約10名の団体を組んで,アメリカ西海岸の精神病院,大学を見学してきた。そこで気づいたことであるが,アメリカの地域精神医学が私が留学した15年前と比べて,非常に地についた活動をしているということである。
例えば,カリフォルニア州のNapa州立精神病院の院長Linn博士の話では,現在ここでは,2,000人の入院患者(15年前は3,800人)に,2,000人の職員が勤務しているが,ダイレクトにこの病院を訪れる患者はなく,すべて郡のcounty mental health centerを通じて患者が紹介され,退院する際には,その患者の入院病歴のコピーならびに今後のcareについての医師のrecommendationをつけて再びもとのcounty mental health centerへ送られ,そこで色々の施設(halfway house,supervised apartment livingなど)を利用してのaftercareがとられているということであった。すなわち州立精神病院は,地域精神医学の一環としての役割を果たしており,精神病院と精神衛生センターとの役割分担が確立しているわけである。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.