特集 臨床神経生理学的検査の進歩
Ⅰ 脳波
4.終夜脳波,終夜ポリグラフィー
苗村 育郎
1
,
本多 裕
1
1東京大学精神医学教室
pp.1229-1239
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911382
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終夜ポリグラフィーはヒトの睡眠—覚醒に関連する諸現象を長時間にわたり検索する手技であり,各種の睡眠—覚醒障害や意識障害の検査,催眠剤をはじめとする向精神薬剤ならびに自律系に作用する各種薬物の効果や,夜間睡眠時の各種ホルモンの分泌パターンの研究などには現在最も有力かつ一般的な手段となっている.
終夜ポリグラフィーの最も中心的な課題は,終夜にわたる睡眠の深度及び経過を測定することであり,脳波を中心として,心電図,呼吸,筋電図,眼球電位図などを同時に測定するのが一般的である(表1).随意的な意識活動の停止した睡眠中の脳波活動は,むしろ脳のより基本的な属性を忠実に反映している可能性があろう.とりわけ,昼間の検査ではほとんど観測することのできない逆説睡眠や深睡眠と,それらのリズム性についてのデータは,睡眠自体が極めて複雑な内部構造を持つ複合的な精神—生理現象であることを明らかにし,これまでに臨床医学のみならず,心理学,労働科学,環境衛生など多くの関連する分野に重要な知見をもたらしてきた.
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