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I.はじめに
Carbarnazepine(10,11-dihydro-5H-dibenz[b,f]azepine-5-carboxamide)(CZP)は1952年に抗うつ剤であるimipramineの開発途上に発見された物質であり,構造は三環抗うつ剤に類似している(図1)。また1962年以来抗てんかん剤として大発作や精神運動発作に有効であることが認められ臨床的に応用されているが,さらに向精神病作用23),抗躁作用24),三叉神経痛治療剤として幅広い作用面を持つ薬剤として注目されている。
CZPの抗てんかん作用と同剤の血中濃度との相関に関する研究としては,Freyら13),Parsonage15),Cereghinoら1,2),Mollerら22),Meinardi14),Schneider20),Oller Ferrer-Vidalら16),Damら19),Levyら21)の報告があり,また本邦では宮本9,10)の報告がみられる。このなかでは抗てんかん作用と血中濃度との相関を明らかにし得なかった報告13〜15)と,CZPの治療有効濃度を示唆した報告1,2,16,19〜21)がある。筆者らは先に日本人対象患者では,抗てんかん剤(phenobarbital,diphenylhydantoin,primidone)の治療濃度が欧米の報告より低値を示していることを報告している6,7)ので,CZPについても欧米の治療濃度をそのまま適用することはできないと考え,本邦てんかん患者の血漿CZP濃度を測定し,その分布,治療濃度を調べ,それを左右する因子について考察した。
かかる方面での研究が進むためには,簡易なCZPの測定方法の開発が最も重要な要素となることは明白である。しかるに,Syvaより開発された酵素免疫測定法3〜5)を用いれば,CZPもまた精度も高く簡易迅速に少量の血液サンプル(0.05ml)ので血漿濃度を測定することが可能であることを確認している8)。
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