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特集 青年期の精神病理
比較精神医学的観点から—アフリカ
Africa: From the Aspects of Comparative Psychiatry
稲村 博
1
Hiroshi Inamura
1
1筑波大学社会医学系精神衛生学
1Dept. of Social Psychiatry, Institute of Community Medicine, Univ. of Tsukuba
pp.1317-1322
発行日 1977年12月15日
Published Date 1977/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202700
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Ⅰ.まえがき
アフリカと一口に言っても,地球上第二の広大な大陸であり,50余カ国の千に近い種族で構成され,700以上の言語を含んでいる。地域による差は想像以上に大きく,北部と南部,東部と西部,また中央部などで,地理気候,風俗習慣などすべてが複雑に異なる。こうしたアフリカを簡単に概括することは,極めて困難である5)。
このアフリカについては,わが国から遠く隔っていることもあって,われわれは余りにも知らないでいる。これまでの乏しい資料で知っていたつもりのアフリカのイメージは,現実とは異なる虚像であって,この大陸に第一歩を印した瞬間から意外さに驚かされることの連続である。シュヴァイツァーの記したアフリカは完全に過去のものだし,独立戦争華やかなりし頃のアフリカも今はない。そこでは物事の変化するテンポが,すべてわれわれの常識を破っているかのようである。
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