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I.はじめに
1943年,AdrianとMathews1)は人間の光駆動反応(photic driving response)を発見し,報告した。この光駆動反応は周期的な閃光刺激に同期して主として人間の後頭部脳波に重畳して出現する誘発電位であり,閃光の種類によって周波数が変化するため,Kiloh, Osselton9)によってphotic recruitmentとも呼ばれた現象である。本現象は閃光による誘発律動要素と自発律動要素との混合からなる複雑な脳波活動であり,個体的特異性を有すると同時に生理的諸因子の変化によって左右される一面を持ち,特に情動の影響を受けやすい点がWalter21,24)によって注目されている。
本現象を精神障害者の脳波分析に応用することを最初に着想したのはWalter22,24)であるが,わが国でも五十嵐5),佐藤13〜17),稲永8),一条6,7)らの研究が報告されている。
著者の1人である佐藤(時)は1963年以降,band pass filter方式によるWalter型21,2)の周波数分析器を用い,低頻度から高頻度まで閃光刺激の周波数を継時的に変化させ,その時の脳波成分の変化を帯域別にまとめて整理し,そのパターンから脳波分析を行なう方法を案出し,これをphoto-analysogram(PAG)と名づけた。
これまで,佐藤13〜18,11,25)およびその協力者達は非定型内因性精神病から始め,分裂病,躁うつ病,健常者,神経症,てんかん,心身症などについてPAG patternを記録し,これを分類整理してpatternの類型化を行なってきた。
しかし,従来の判定方法はpatternの類型を判別する場合,すべて視覚的な方法に頼っており,判定者により主観的要素が入りやすい欠点を有し,時としては分類不能のpatternが出ることもあった。この問題を極力回避するため,今回,われわれはpattern判定を一定の手順により計量化し,より客観的な類型判別を目ざしたが,その最初の試みとして以下の研究を行なった。
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