Japanese
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研究と報告
Pick病における失語症について—自験3症例と本邦報告例49症例の検討
On Aphasia of Pick's Disease: A review of our own 3 cases and 49 autopsy cases in Japan
小阪 憲司
1
Kenji Kosaka
1
1東京都精神医学総合研究所
1Psychiatric Research Institute of Tokyo
pp.1181-1189
発行日 1976年11月15日
Published Date 1976/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202551
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I.はじめに
Pick病は,Alzheimer病とともに,初老期痴呆症の代表的疾患であり,ともに特有な臨床症状と神経病理所見を示す疾患として知られている。一般に,Alzheimer病では失語・失行・失認などの大脳巣症状が出現しやすいが,Pick病では出現しにくいといわれ,このことがむしろ両者の鑑別点の一つにさえ数えられている。しかし,実際にはPick病でも側頭葉や前頭葉の巣症状を示すのが普通であり,特有な人格障害・言語機能の障害・痴呆がその三大症状といえよう。
ここでは,Pick病の言語機能の障害,特に失語症に焦点をあて,自験3症例(2剖検例と1臨床例)を報告するとともに,本邦における剖検報告例49例について検討し,更に失語症と病変部位との関連についても検討を加え,若干の見解を示すことにする。
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