Japanese
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研究と報告
てんかん患者の子における罹病危険率—経験的遺伝予後
Morbidity Risk among Offspring of Epileptic Patients
坪井 孝幸
1
,
遠藤 俊一
1
Takayuki Tsuboi
1
,
Shun'ichi Endo
1
1東京都神経科学総合研究所遺伝学部門
1Dept. of Genetics, Tokyo Metropolitan Inst. for Neurosciences
pp.379-389
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202465
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Ⅰ.まえがき
てんかんの病因としての遺伝要因の意義に関する我々の知識は,双生児研究と家族研究に負うところが大きい。
双生児研究 てんかん双生児における一致率は,1卵性双生児(以下MZと略す,57%,155/274組)のほうが2卵性双生児(以下DZと略す,11%,61/570組,文献37参照)よりも高く,一致率のMZ/DZ比は約5となる。双生児を卵性別・脳障害の既往の有無別に分けた報告(LennoxとJolly,1954,双生児173組)によれば,脳障害の既往のない(いわゆる真性てんかん)MZ群における一致率(88%,45/51)は,既往のある(いわゆる症候性てんかん)MZ群における一致率(35%,9/26)より,著しく高値を示す(X2=23.636,d. f.=1,p<0.0001,筆者の検定による)。脳障害の既往のあるMZ群における一致率35%は,DZにおける一致率(既往なし群13%,6/47;既往あり群12%,6/49)よりも高い。一致のMZ双生児は,発作型,発作の初発年齢,経過がよく類似する。一方が発作を持ち,他方が発作を持たない,即ち不一致のMZでは,無症状のものが脳波検査により,しばしば発端者と類似の定型的てんかん性異常波を示すことなどが知られている(文献37参照)。DZ双生児では,一致の組でも発作型,発作初発年齢,脳波所見が類似しないものが多い。
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