Japanese
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研究と報告
Presbyophrenieの1剖検例—非定型な神経病理所見を示す老年痴呆の観点から
An Autopsy Case of Presbyophrenie: In the view of senile dementia with the atypical neuropathological feature
伊藤 智子
1
,
近藤 重昭
2
Tomoko Ito
1
,
Shigeaki Kondo
2
1国見台病院
2秋田大学医学部神経精神科
1Kunimidai Psychiatric Hospital
2Dept. of Neuropsychiatry, Akita University
pp.169-173
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202443
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I.はじめに
初老期痴呆,老年痴呆において,従来の成書に記載されている分類からでは理解の困難な非定型症例の報告が,本邦でも最近ふえてきている5,9,15)。臨床症状からの鑑別困難もさることながら,組織学,組織化学,特に電子顕微鏡によるめざましい形態学的研究の進歩に基因していると考える。たとえばAlzheimer病,Pick病においては,各々の病気に特異的な所見といわれていた形態像に関して,従来の鍍銀染色などでも両者の移行型,中間型が考えられていたが25),最近の電子顕微鏡研究から質的に同じものであるとの成果が報告されている。著者らは神経病理学的には,嗜銀球類似の像をもつAlzheimer病の所見を呈したPresbyophrenieの症例を経験した。本症は老年期痴呆症の中でも特異な臨床像を示すことから,その臨床についても若干の考察を加えたい。
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