Japanese
English
研究と報告
慢性Diphenylhydantoin中毒によると考えられる小脳萎縮の1剖検例
An Autopsy Case of Cerebellar Atrophy Induced by Chronic Diphenylhydantoin Intoxication
守田 耕太郎
1
,
近藤 重昭
2
,
湊 浩一郎
3
,
飛沢 壮介
4
,
武田 憲明
1
,
上松 正幸
1
,
田村 友一
1
,
貝谷 壽宣
1
,
難波 益之
1
Kotaro Morita
1
,
Shigeaki Kondo
2
,
Koichiro Minato
3
,
Sosuke Tobisawa
4
,
Noriaki Takeda
1
,
Masayuki Uematsu
1
,
Tomokazu Tamura
1
,
Hisanobu Kaiya
1
,
Masuyuki Namba
1
1岐阜大学医学部神経精神医学教室
2角舘公立病院精神神経科
3秋田市立病院精神科
4二本松会上山病院
1Gifu University School of Medicine, Department of Neuropsychiatry
2Kakunodate Public Hospital
3Akita City Hospital
4Kaminoyama Mental Hospital
キーワード:
Chronic DPH intoxication
,
Diffuse Purkinje cell loss
Keyword:
Chronic DPH intoxication
,
Diffuse Purkinje cell loss
pp.545-551
発行日 1986年5月15日
Published Date 1986/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204150
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抄録 本例は25歳から全身けいれん発作を生じ,27年間に渡りDPH(0.15〜0.45),PB(0.1〜0.15)を主とする抗てんかん薬を服用していた精神遅滞者にみられた小脳萎縮症である。小脳症状,傾眠,昏迷などの急性DPH中毒症状と思われるエピソードを33歳(DPH 0.3,5.6mg/kg),34歳(DPH 0.35,6.7mg/kg),35歳(DPH 0.4,7.5mg/kg),36歳(DPH 0.45,8.5mg/kg)時に計4回繰り返した後に,3回目以降から非可逆的な失調性歩行障害を残した。神経病理学的所見は小脳プルキンエ細胞のび漫性脱落,leeres Korbの出現,ベルグマングリア増生,分子層,歯状核のグリオーゼ,下オリーブ核の神経細胞脱落,グリオーゼ,海馬錐体細胞のアルツハイマー原線維変化,帯状回,島部,線状体の浮腫であった。海馬の断血性変化,細胞脱落等がみられなかったことから本例をDPH中毒による小脳萎縮と考えた。小脳病変発生について神経病理学的,薬理学的な考察を加えた。
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