Japanese
English
研究と報告
特異な病理所見を示したアルツハイマー病の2剖検例
Two Autopsied Cases with Alzheimer Disease Indicating Peculiar Clinical and Neuropathological Findings
入谷 修司
1
,
土谷 邦秋
2
,
池田 研二
3
,
小阪 憲司
4
Shuji IRITANI
1
,
Kuniaki TSUCHIYA
2
,
Kenji IKEDA
3
,
Kenji KOSAKA
4
1東京都立松沢病院精神科
2東京都立松沢病院検査科
3東京都精神医学総合研究所神経病理部門
4横浜市立大学医学部精神医学講座
1Department of Psychiatry, Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital
2Department of Laboratory, Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital
3Department of Neuropathology, Tokyo Institute of Psychiatry
4Department of Psychiatry, Yokohama City University, School of Medicine
キーワード:
Familial Alzheimer's disease
,
Autopsied cases
,
Senile plaques
,
Tangles
Keyword:
Familial Alzheimer's disease
,
Autopsied cases
,
Senile plaques
,
Tangles
pp.1061-1069
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904854
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
【抄録】 特異な臨床像や神経病理像を呈した若年発症のアルツハイマー病(AD)の2症例を報告した。症例1は痴呆の遺伝負因を持ち36歳頃発症し,最後は失外套状態となり全経過8年で死亡し,神経病理学的に脳の萎縮が目立たない一方,大量の老人斑が大脳皮質をはじめ,基底核,小脳にまで観察された。症例2は47歳で発症し,全経過約14年を経て最後は失外套状態になって死亡した症例で,前頭葉から側頭葉にかけての著明な萎縮があり,脳重も775gと著明に減少していた。大脳皮質において神経細胞の脱落の程度や老人斑および神経原線維変化の出現に,部位による強弱があり,また大脳白質の変化が強かった。この2症例の神経病理像は,その組織障害という点においてきわめて広範で重症であり,アルツハイマー病の究極像を示していると考えられた。なお,両例ともに遺伝子検索を施行したが,AD関連遺伝子は同定できなかった。
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.