Japanese
English
研究と報告
多彩なヒステリー症状を呈したてんかんの1例—その催眠療法を通じて
A Case of Epilepsy manifesting variegated Hysterical Symptoms: through its Hypnotherapy
山内 洋三
1
Yozo Yamauchi
1
1久留米大学医学部精神神経科教室
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Kurume Univ.
pp.1287-1293
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202406
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I.はじめに
ある種のヒステリー発作や行動は,てんかんのそれらと区別するのが困難である。また真性てんかんといわれるものでも,それらの患者達の発作には情動が十分関与しているといわれている1)。またLowry2)によると小発作型てんかんは心因性であろうとさえ極論している。ヒステリー発作とてんかんのけいれん発作の区別には脳波検査が手助けになるが,それだけでは十分でない。
著者は,以前ヒステリー性の後弓反張を呈した過呼吸症候群をみたさい,彼女のヒステリー発作が,すなわちトランス状態にあるのだろうという観察から,過呼吸を行わせることにより催眠トランスが得られることも知り,催眠誘導に応用している3)。過呼吸を行わせるさい,ヒステリー性けいれんの疑われるものにはけいれん暗示を加えることによりけいれんを誘発し,しかもトランスに導けるものである。そしてそこでの激しい情動の発散を治療に応用している。Lindner4)も,心因性けいれん状態(すなわち,ヒステリー性けいれん発作)は催眠トランス誘導により再現されると述べている。すなわち彼はトランス中にけいれん発作の暗示を加えることによっても,また最初のけいれんが起こった時点へ退行させることによっても,容易に発作がひき起こされると述べている。
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