Japanese
English
研究と報告
自閉症状を示した狭頭症(三角頭)児の1例
A Case of Craniostenosis (Trigonocephaly) with Autistic Symptom
小片 富美子
1
,
原田 憲一
1
Fumiko Ogata
1
,
Kenichi Harada
1
1信州大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Faculty of Medicine, Shinshu University
pp.1079-1085
発行日 1975年10月15日
Published Date 1975/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202386
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I.はじめに
狭頭症は頭蓋骨縫合に早期癒合が起こって,頭蓋に変形を生ずるとともに多くの例では知能障害や神経症状(眼症状,脳圧亢進症状)を生ずる疾患である4)。狭頭症の精神症状については,これまで知能障害の程度についての報告のみで,精神病様ないし,神経症様の症状を示す例についての報告はきわめて少ない6,10,26)。狭頭症は早期化骨が生ずる部位により頭蓋の変形が異なるので尖頭型,短頭型,針頭型,舟状頭,三角頭,Crouzon病などに分類される。そのうち三角頭trigonocephalyは狭頭症中約9〜10%である2,9)。その早期閉鎖部は的頭縫合である。三角頭はその症状の現れ方に二,三の多様性がある。すなわち前頭縫合の早期閉鎖のみで頭蓋の変形以外の症状が現れないタイプ7,9)と,前頭葉の発育の侵されるarhinencephalyを伴ったタイプ2,6),さらに各例が口蓋裂,多指症,斜視,脳梁欠損,尿路奇形,虹彩の部分的欠損などを伴うタイプがある。三角頭では知能障害のみられる率は20〜30%といわれる3)。
われわれは今回6歳半,男児で三角頭のある狭頭症児の1例を治験する機会をもったので報告する。本例は身体的には前頭縫合の早期閉鎖のみで軽度の外斜視を伴う他は著しい身体上の所見は認められなかった。そして精神薄弱児として処遇されていたが主たる精神症状は自閉症状であった。
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