Japanese
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研究と報告
伝染性単核球増多症様症候群と思われる症例の精神症状
A Case of Infectious-mononucleosis-like Syndrome Presenting Psychic Symptoms Predominantly
今 裕
1
,
高畑 直彦
2
Yutaka Kon
1
,
Naohiko Takahata
2
1市立小樽第2病院精神科神経科
2北海道大学精神医学教室
1Dept. of Psychiatry and Neurology, Otaru Municipal 2nd Hospital
2Dept. of Psychiatry and Neurology, Hokkaido Univ. School of Medicine
pp.1071-1077
発行日 1975年10月15日
Published Date 1975/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202385
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I.はじめに
伝染性単核球増多症は主として小児および青年を侵し,一般に予後良好な感染症と考えられ,発熱,リンパ節腫脹,脾腫,咽頭痛,単核球増多,肝機能障害,Paul-Bunnell反応陽性などを特徴とするが,時に定型的な臨床像を欠如することがあり,このような不全型は一括して伝染性単核球増多症様症候群4,10,22)と呼ばれている。また伝染性単核球増多症はしばしば再生不良性貧血,肺炎,心筋炎さらに神経系障害として髄膜炎,脳炎,視神経炎,ギラン・バレー症候群,末梢神経炎などを起こすことがあり,多彩な臨床症状を呈することが知られている1,9,11,13,17,18,20)。急性精神病様の精神症状をもって発病し,全経過を通して精神症状がみられた症例もいくつか散見される14,17)が,しかし同時に種々の神経学的局所症状,髄液タンパク含量上昇および細胞数増多などの脳脊髄の実質ないしは髄膜の炎症性徴候を有していることが多く,全経過を通して主として精神症状が前景となり,しかもこれといった神経学的異常所見を欠如するような症例の報告はこれまであまりみられない14)。
最近われわれは緊張病様の精神症状を前景とした伝染性単核球増多症様症候群の1例を経験したので,臨床経過,検査成績を報告し,あわせて若干の検討を加えたい。
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