Japanese
English
研究と報告
アルコール中毒者の予後と家族との関係—とくに配偶者との関係について
Studies on the Relation between the Prognosis of Alcoholics and their Family Dynamics: Especially, the Influence of their Marital Status
小杉 好弘
1
,
田中 美苑
2
Yoshihiro Kosugi
1
,
Misono Tanaka
2
1大阪市立大学医学部神経精神科
2浜寺病院,臨床心理
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka City Univ. Medical School
2Hamadera Hospital
pp.1047-1053
発行日 1975年10月15日
Published Date 1975/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202382
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
アルコール中毒は心身の障害のみならず,社会生活の障害をもたらす行動異常とされている。こういった行動障害のうち,家庭生活における適応異常はこの疾病の重要な一側面であり,これはむしろ職業生活の障害とならぶこの疾病の中核をなすものである。
アルコール中毒者の家庭生活は,アルコール依存の進行とともに,患者とそれをとりまく家族に大きな心理的影響をおよぼし,家庭内緊張が高まってゆく。それにつれ,家族の患者にたいする態度が漸次変化し,家族員相互の役割や地位が変わるものである。このような家族内力動の変化が,患者を心理的に圧迫し,それが飲酒にたいする合理化の材料になるなど,二次的な状況の悪化をもたらし中毒を促進するという悪循環をきたすことになる。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.