古典紹介
—Carl Wernicke—Der aphasische Symptomencomplex—Eine psychologische Studie auf anatomischer Basis
浜中 淑彦
1
Toshihiko Hamanaka
1
1京都大学医学部精神神経科
1Dept. of Psychiatry & Neurology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.747-764
発行日 1975年7月15日
Published Date 1975/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202347
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Ⅰ.
以下,〔 〕内小活字は抄訳の部分を示す。(訳者)〔Flourensの唱えた大脳皮質の機能的均一性の説は今日既に妥当なものではなくなったが,それは骨相学者達Phrerologenの主張する局在論の意味ではなく,Meynertの神経繊維説のうちにこそ精密大脳生理学の端緒が含まれており,本書はMeynertの大脳解剖学を実際に正常な言語過程と失語症状に応用しようとした1つの試みである,との書き出しで,視覚,嗅覚,触覚といった最も要素的な心的機能のみが大脳皮質の特定の領域に局在せしめ得るのであって,概念構成,思考,意識といった高次の機能はMeynertのいう連合繊維系の複雑な作業であることを説き,HitzigらやNothnagelの大脳刺激・切除実験を紹介しつつ,感覚器官より投射路を経て得られた感覚印象が記憶心像として後頭・側頭脳Hinterhauβts-Schläfehirnに,運動表象は前額脳Stirnhirnに貯えられ(頭頂脳の機能は当時未決の問題であった),両者の連合Assoziationによって一種の心的反射作用psychische Reflexaktionen(Griesinger)が形成され随意運動が行われると説明する〕。
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