Japanese
English
研究と報告
向精神薬療法中の精神神経疾患患者の眼科的所見(2)—向精神薬服用によると思われる水晶体混濁
Ophthalmological Findings on Neuropsychiatric Patients during Psychopharmacotherapy (2): Seven Cases due to Antipsychotic Drugs
小椋 力
1
,
久田 研二
1
,
赤松 哲夫
1
,
大熊 輝雄
1
,
瀬戸川 朝一
2
,
玉井 嗣彦
2
,
松浦 啓之
2
,
久葉 周作
3
,
土江 春隆
3
,
島雄 周平
4
,
三原 基之
4
,
井上 多栄子
4
Chikara Ogura
1
,
Kenji Kuda
1
,
Tetsuo Akamatsu
1
,
Teruo Okuma
1
,
Tomoichi Setogawa
2
,
Akihiko Tamai
2
,
Hiroyuki Matsuura
2
,
Shusaku Kuba
3
,
Harutaka Tsuchie
3
,
Syuhei Shimao
4
,
Motoyuki Mihara
4
,
Taeko Inoue
4
1鳥取大学医学部神経精神医学教室
2鳥取大学医学部眼科学教室
3安来第一病院
4鳥取大学医学部皮膚科学教室
1Dept. of Neuropsychiat., School of Medicine, Tottori Univ.
2Dept. of Ophthalmology, School of Medicine, Tottori Univ.
3Yasugi Daiichi Hospital
4Dept. of Dermatology, School of Medicine, Tottori Univ.
pp.271-281
発行日 1975年3月15日
Published Date 1975/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202292
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
向精神薬の副作用としては従来錐体外路症状,肝機能障害,その他多くのものが知られているが,最近ではとくにtardive dyskinesia,角膜・水晶体の混濁など不可逆性の変化が注目されるようになった。そのうち角膜・水晶体の混濁については,Bock and Swain3)(1963)を初めとしてFeldmanら5)(1964),Greinerら9)(1964),DeLongら4)(1965),Wetterholmら23)(1965),Mathalone15)(1967)などの報告が続き,わが国では山中ら25)(1971),本多ら11)(1973)の研究がある。それらの研究によると,混濁は角膜・水晶体の瞳孔領に一致した最表層にあり,粉状,顆粒状,星状を示すのが特徴とされているが,出現頻度,服用した向精神薬の種類,量などとの関係については一定の知見は得られていない。他方これらの角膜・水晶体の混濁を有する症例には皮膚色素沈着が高率に認められるとの報告があり(Barsaら,1965),この方面から混濁の病態生理を解明する試みも行われているが,有色人種については混濁と皮膚色素沈着との関係を検討した報告はみられない。
筆者らは,すでに第1報(大熊ら17),1975)で報告したように,向精神薬療法中の精神神経疾患患者に服用した向精神薬のためと思われる水晶体の混濁を有する症例を見出したので,これらの症例について混濁と服用した向精神薬との関係を調べたほか,皮膚色素沈着などとの関係についても検討したので,その概要を報告する。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.