Japanese
English
研究と報告
伝導失語症の1剖検例と文献的考察
An Autopsy Case of Conduction Aphasia and Review of the Reported Cases
有輪 六朗
1
,
斎藤 脩
1
,
山県 博
2
Rokuro Ariwa
1
,
Osamu Saito
1
,
Hiroshi Yamagata
2
1順天堂大学医学部病理学教室
2埼玉医科大学精神科教室
1Dept. of Pathology, Juntendo Univ. School of Medicine
2Dept. of Psychiatry, Saitama Medical School
pp.65-69
発行日 1975年1月15日
Published Date 1975/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202265
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
今日,失語症の各病型のなかで,Wernickeが理論的に記述した伝導失語症については,臨床的にも,また病理解剖学的にも問題点が残されている。著者の1人,山県が,1960年,本症例の臨床像を分析し,とくに,その模倣言語障害の発生には,末梢的性格ともいえる音韻聴取能力の障害が大きな役割を演じているのではないかと推察した26)。今回われわれは本症例を剖検する機会を得たので,本論文では,おもに病理所見について報告し,前回の臨床報告と合わせて考察したい。
われわれが本症例を伝導失語と診断した理由について,少し説明を加えたい。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.