Japanese
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研究と報告
精神障害者の自由権
Die Freiheitsrechte von Psychisch Kranken
田村 幸雄
Yukio Tamura
pp.1063-1069
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202089
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I.はじめに
精神医学界においては,精神障害者(以下障害者と略記)の人権を無視している精神病院の告発が流行している。以前は障害者の野放しを宣伝したマスコミも,不良精神病院の暗黒面の暴露に焦点が移った。かかる報道は精神病院を反省せしめるには役立つが,他方,障害者やその家族に無用の不安を与えている。革新的精神医学徒は措置入院を刑法の保安処分と同類とみなし,これを障害者の差別観に基づく不当な処置として,その粉砕を叫んでいる。
障害者の入院について,私は人権上大きな問題があると感じ、10数年前から反復意見を述べた12〜22)。近年,精神医学界も刑法の保安処分問題を契機としてその論議が喧しくなり,病院精神医学会2,3)や精神神経学会4)もシンポジュームのテーマとして取上げるようになった。私ももう一度この問題を考え直し,精神衛生法をいかに改正すべきかなど,意見を述べたいと思う。自由権といっても,身体的自由のほかに,学問・信仰・思想その他の自由があるが,ここでは前者に限定して論述する。
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