Japanese
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特集 痴呆の臨床と鑑別
内科の立場から—前頭葉連合野の血管障害と痴呆
Vascular Lesions in the Frontal Association Field and Dementia
亀山 正邦
1
Masakuni Kameyama
1
1東京都養育院付属病院
1Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital (Yoikuin)
pp.357-366
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202005
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I.はじめに
痴呆の定義は正確には,まだきまっているとはいえない。各種の内科的疾患,神経疾患において,痴呆はしばしばその主症状をなすが,判定者によっては,これを意識障害ととり,あるいは痴呆とみなす。痴呆症候群の内容が,このように区区であるため,痴呆患者の頻度,その臨床上の意義づけ,治療などに対しては,多くの混乱が生じている。たとえば,脳動脈硬化性痴呆と老年痴呆との問題においても,これを取り扱う内科,あるいは精神科の医師の間に,必ずしも意見の統一があるとはいえない。この意味では,たとい暫定的なものにせよ,痴呆の診断基準の設定が望ましい。痴呆は,老年者のみに限った問題ではないが,老年人口の増加は,この問題の重要性を,ますます高めてゆくことはいうまでもない。
この論文では,痴呆の定義について,アメリカ精神医学協会のcriteriaにしたがうことにする1)。
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