Japanese
English
研究と報告
二重盲検法によるSulpirideの精神分裂病に対する薬効検定
A Double Blind Comparison of Sulpiride with Thioridazine on Schizophrenia
谷向 弘
1
,
乾 正
1
,
高橋 尚武
1
,
金子 仁郎
1
Hiroshi Tanimukai
1
,
Masashi Inui
1
,
Hisatake Takahashi
1
,
Ziro Kaneko
1
1大阪大学医学部精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka Univ. Med. School
pp.197-207
発行日 1973年2月15日
Published Date 1973/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201990
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化学構造上も,薬理学的にも,従来の強力安定剤とは大きく異なったsulpirideの精神分裂病に対する臨床効果を,thioridazineを対照薬とした二重盲検・並列比較試験法によって調べた。1週間のplacebo投与ののち,実薬を固定可変法で10週間投与し,経過を観察,諸検査を施行した。試験を完了したものはsulpiride群42例,thioridazine群43例,途中で脱落したものはそれぞれ2例および1例で,いずれの薬剤投与例も総計同数の44例ずつであった。
得られた結果をχ2検定法あるいは直接確率計算法を用いて解析したところ,全般的な分裂病像の改善,病型,状態像,経過類型,罹病期間,今回の症状発現より治療開始までの期間別にみた改善率,各精神症状に対する効果などのどの面から比較してみても,両薬剤間に有意差を見出すことができなかった。sulpiride治療によって高い改善率のみられた症状は,幻覚および自我障害,妄想,接触性,病識などで,とくに妄想に働きかけて病識を出させる効果に特徴が認められた。しかし経口投与では精神運動興奮や昏迷状態を改善する作用は弱いようであった。
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