Japanese
English
研究と報告
二重盲検法によるClozapineの精神分裂病に対する薬効検定
A Double-blind Comparison of Clozapine with Thioridazine on Schizophrenia
谷向 弘
1
,
乾 正
1
,
高橋 尚武
1
,
金子 仁郎
1
Hiroshi Tanimukai
1
,
Masashi Inui
1
,
Hisatake Takahashi
1
,
Ziro Kaneko
1
1大阪大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Osaka Univ. School of Med.
pp.269-284
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201998
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化学構造上も,薬理学的にも,従来の強力安定剤とはかなり異なった特徴をもつclozapineの精神分裂病に対する臨床効果を,thioridazineを対照薬とした二重盲検・並列比較試験法によって検討した。1週間のplacebo投薬ののち,実薬を固定可変法で10週間投薬し,経過を観察,諸検査を施行した。試験を完了したものはclozapine群41例,thioridazine群43例,途中で脱落したものはそれぞれ4例および1例であった。
得られた結果をで検定法,直接確率計算法,一部は平均値の区間推定法を用いて解析したところ,全般的な分裂病像の改善率において,clozapine群がthioridazine群より危険率10%水準で有意にすぐれていた。また病型では緊張型,経過類型では慢性欠陥(荒廃)移行型,罹病期間では発病後3〜5年と10年以上の症例群,発症より治療開始までの期間が6カ月未満の症例群で,clozapine群の改善率がすぐれていた。clozapineによる治療で高い改善率のみられた症状は幻覚および自我障害,言葉数の異常,接触性,妄想,感情の異常などで,言葉数の異常,接触性,疏通性の改善率はthioridazine群のそれを有意に上まわった。
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