Japanese
English
研究と報告
心因を契機として幻覚妄想状態と発作性脳波異常を呈した2症例について
On the Two Cases with Schizophrenic Symptoms associated with Paroxysmal Abnormalities in E. E. G., following Psychic Trauma
斎藤 嘉郎
1
,
高橋 三郎
1
,
山崎 晃資
1
,
山下 格
1
,
里見 龍太
1
,
伊藤 哲寛
2
Yoshiro Saito
1
,
Saburo Takahashi
1
,
Itaru Yamashita
1
,
Ryuta Satomi
1
,
Tetsuhiro Ito
2
1北海道大学医学部精神科神経科教室
2帯広緑ケ丘病院
1Dept. of Neurol and Psychiat., Hokkaido Univ. School of Med.
2Obihiro Midorigaoka Hospital
pp.173-181
発行日 1973年2月15日
Published Date 1973/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201987
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I.緒言
妄想・幻覚などの精神分裂病様症状を呈しながら,定型的な精神分裂病とは断定できにくい症例が少なからずある。諏訪1)が指摘しているように,内因性精神病と称されるものの中には,「躁うつ病的色彩をもつ分裂病様状態(またはその逆),周期的にあらわれる分裂病様状態,躁うつ病から分裂病への移行型(またはその逆)」などの非定型群が含まれており,このことが,内因性精神病の本態を問題にする場合,精神病理学的な議論をいっそう複雑にする要因となっている。しかし,非定型群のみならず,定型的内因性精神病の本質を解明するためにはPauleikhoff, B. 2)の主張するように「同一の症状のみを十分条件とせずに,それを露呈するに至った状況依存的な患者の心理状態,疾患の経過などを十分吟味した上で,精神病理学的疾患単位を定める」入念な努力を欠いてはならない。
著者らがここでとりあげた症例も,いわゆる非定型群に属すると思われるケースであるが,発病に至るまでの特異な心理的経過,および精神症状の消長に一致した発作性脳波異常など,興味ある問題を含んでいる。本論文においてはとくに,これらの要因のもつ病因的な意義について考察を加えたい。
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