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Seishin Igaku Volume 37, Issue 12 （December 1995）

精神医学 37巻12号（1995年12月発行）

Japanese English

研究と報告

幻覚妄想状態および著しい知能障害を呈した多発性硬化症の1症例 A Case of Multiple Sclerosis with Hallucinatory-delusional State and Remarkable Intelligence Disturbance 朝倉聡 ^1,2 , 宮本環 ² , 香坂雅子 ² , 高橋三郎 ¹ , 小山司 ² Satoshi ASAKURA ^1,2 , Tamaki MIYAMOTO ² , Masako KOHSAKA ² , Saburo TAKAHASHI ¹ , Tsukasa KOYAMA ² ¹北海道立向陽ケ丘病院 ²北海道大学医学部精神医学教室 ¹Hokkaido Prefectural Koyogaoka Hospital ²Department of Psychiatry and Neurology, Hokkaido University School of Medicine キーワード： Multiple sclerosis , Hallucinatory-delusional state , Intelligence disturbance , Steroid psychosis , Thalamic lesion Keyword: Multiple sclerosis , Hallucinatory-delusional state , Intelligence disturbance , Steroid psychosis , Thalamic lesion pp.1297-1302

発行日 1995年12月15日 Published Date 1995/12/15

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904001

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　【抄録】5歳時より多発性硬化症の診断を受け，4回目の増悪時に，幻覚妄想状態および著しい知能障害を呈した20歳女性（左利き）の1症例を経験した。MRIでGd-DTPAで増強される活動性病変が，左側側脳室周囲白質と右側視床に認められ，視床病変は直径約1cmと大きく内側部に存在していた。腫瘍，梗塞などによる両側または優位側の視床内側部の障害により幻覚妄想状態が出現したという報告があり，また同部位の障害で記銘力障害が出現したという報告もある。本症例における幻覚妄想状態および著しい知能障害については右側視床の内側部にかかる活動性病変が関与していた可能性が考えられた。幻覚妄想状態に対する治療としては少量のハロペリドールが有用であったが，知能障害の改善は認められなかった。