Japanese
English
研究と報告
幻覚妄想状態を呈した結節性硬化症の1例
A Case of Tuberous Sclerosis with Hallucinatory Paranoid State
牟礼 利子
1
,
榊 敏幸
1
,
藤井 英雄
1
,
森岡 洋史
1
,
松本 啓
1
,
鮫島 秀弥
2
Toshiko Mure
1
,
Toshiyuki Sakaki
1
,
Hideo Fujii
1
,
Hirohumi Morioka
1
,
Kei Matsumoto
1
,
Hideya Sameshima
2
1鹿児島大学医学部神経精神医学教室
2枕崎病院
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kagoshima University
2Makurazaki Hospital
キーワード:
Tuberous sclerosis
,
Hallucinatory paranoid state
,
Chronological changing
,
Schizophrenic symptoms
Keyword:
Tuberous sclerosis
,
Hallucinatory paranoid state
,
Chronological changing
,
Schizophrenic symptoms
pp.197-201
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204473
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抄録 幻覚妄想状態を呈した結節性硬化症の1例について報告した。主症状は幻聴,作為体験であり,妄想は体系化を示さず,感情面,行動面での障害は認められず,疎通性も良好であることから,結節性硬化症による器質性精神病であると考えた。また,結節性硬化症の分裂病様症状に関しては,以前は緊張病状態,人格解体が主として報告されていたが,近年は幻覚妄想状態を呈した症例のみがみられ,著明な人格解体を呈した症例も認められず,精神分裂病や他の精神障害と同様に,病像の時代的変遷が認められた。そして,この変化は,精神分裂病,神経症,異常体験反応,進行麻痺などにおいて認められる寡症状化,軽症化と同じ方向への変化である。これには薬物療法を含む治療法の進歩や,家族制度,親子関係,疾病感,生活環境,経済状況などを含む広い意味での社会文化的背景の変化などが関与しているものと考えられる。
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