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動き
「人格障害と薬物依存」の国際診断基準—第7回WHO東京会議報告
On the International Classification of "Personality Disorder and Drug Dependence": Ⅶ WHO Seminar in Tokyo, 1971
加藤 正明
1
Masaaki Kato
1
1国立精神衛生研究所
1National Institute of Mental Health
pp.841-850
発行日 1972年9月15日
Published Date 1972/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201936
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I.はじめに
昭和46年12月8日から14日までの1週間,第7回WHO国際診断分類統計会議が東京で開催された。この会議はWHOの精神衛生部が中心となって,世界各国から12名の委員を依嘱し,精神衛生研究計画Aとして1965年以来行なわれてきた。その目的は主として精神障害の国際診断基準にあり,第1回は精神分裂病(ロンドン),第2回は反応精神病(オスロー),第3回は児童の障害(パリ),第4回は老人精神障害(モスクワ),第5回は精神薄弱(ワシントン),第6回は神経症(バーゼル)と続けて行なってきた。その第7回の会議が東京で開かれ,テーマは「人格障害personality disorderおよび薬物依存drugdependence」であった。
WHOではいわゆる精神病質,薬物中毒という言葉をすでに用いないことになっている。しかも「人格障害personality disorder」についても,すでにバーゼルの会議で神経症と神経症的パーソナリティとの関係について,多くの意見がかわされ,personality disorderとするのは適切ではなく,personality traitsと考えるべきであり,人格障害をnosological unitとする考えに反対が強かった。今回の会議でも,「人格障害」というカテゴリーは,神経症や精神病などと並ぶ医学的疾病概念ではありえないとする意見がかなり強かった。
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