Japanese
English
特集 向精神薬をめぐる問題点
向精神薬の胎児,血液などに及ぼす影響
Side Effects of Psychotropic Drugs in Foetus and Blood
小林 暉佳
1
Teruyoshi Kobayashi
1
1東京都立松沢病院
1Matsuzawa Hospital
pp.511-517
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201753
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
過去において精神分裂病を中心とするいわゆる内因性精神病に対してインシュリンショック療法,電気ショック療法などのショック療法の果たした役割は大きいが,現在ではこれらに代って薬物療法が精神科領域では治療上の主要な地位を占めてきている。
最近における精神科領域での薬物療法の進歩は目ざましいものがあり,つぎつぎに登場する新しい向精神薬の洪水の中で精神科医は個々の薬物の薬理学的特徴も副作用についての知識も充分でないまま精神医療に従事しているのが現状である。新しく登場する向精神薬の効果に関する臨床知見も数多く得られている。しかし,多くの向精神薬の副作用ことに造血機能,肝機能,循環器系に及ぼす影響についてかなりの懸念がもたれている。とくに問題となるのは長期間の入院加療によっても軽快に至らない慢性の精神分裂病の治療の際である。慢性例の場合,薬物療法は当然長期にわたる。長期投与によって生ずる副作用と投与初期に生ずる副作用とではかなりの相異がある。いずれにせよ向精神薬を用いる場合,たとえその投与期間が長期であれ短期であれ,常に好ましからぬ身体面への影響があることを忘れてはならない1)。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.