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I.はじめに
てんかん患者にchlorpromazine(以下Cpz)などの向精神薬を投与すると,発作頻度の増加1,21,29),脳波異常の増悪2,19,28,32,33)がみられ,けいれん閾値も低下する29,33)ことが知られている。また,けいれん発作の既往のないものにおいても,Cpzの少〜中等量の投与中に,Logothetis17)によればその3〜5%以下のものにではあるが,けいれん発作が生じているという。しかし,向精神薬服用がこれら非てんかん者の脳波に及ぼす影響は,概して軽微であり,振幅の増加,基本周波数の減少が軽度にみられる程度である2,5,8,9,32,33)。ただ最近,越野ら13)は,Cpzあるいはlevomepromazineとhaloperidolの併用時に,棘—徐波結合など発作波の出現した症例を見出して継時的観察を行なった結果,その出現は向精神薬服用との関連性が密接であったと述べている。けいれん閾値に及ぼす影響については,BradleyとJeavons3)は,Cpz, reserpine(以下Res)投与後も,Cpz投与の1例を除き閾値の低下をみることはできなかったが,田中ら31)は,Cpz投与中多くの例において,閾値は投与前に比べ低くなっていたと述べている。
かって,澤24),山崎34)は,電撃療法後に生じる自発性てんかん発作が非定型精神病に多くみられることを指摘しているが,さらに澤24,25),柏倉11)は,内因性精神病のpentetrazol賦活閾値を測定することにより,非定型精神病群の平均閾値が定型的な精神病および正常健康人群に比べて低く,てんかん群の閾値に近いことを見出した。このことは,電撃療法後の自発性てんかん発作が,閾値の低いものにより生じやすいことを示しているように思われる。
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