特別論文 精神医学の基本問題—精神病と神経症の構造論の展望
第4章 神経症学の展開—ババンスキーとジャネとフロイト
内村 祐之
1,2
1東京大学
2財団法人神経研究所
pp.732-740
発行日 1970年9月15日
Published Date 1970/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201653
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前章では,グリージンガーによって開発の途についた精神病研究が,ウェルニッケとクレペリンとを俟って進展した様子を,この2人の理論と分類とを略述しながら述べ,その中でも代表者と言うべきクレペリンに対して,ようやく学界の批判が高まった時点までを紹介した。そして真に近代的と言うべき精神病の研究が,この2人によって初めて軌道に乗ったとの印象を強くしたのである。そこで本章では,第1章で述べた精神医学の2つの系譜のうち,シャルコーによって代表される神経症の問題,特にヒステリーの研究について,その後の進展の模様を紹介したいと思う。この方面の研究も,ジャネとフロイトの2人によって初めて近代的の装いを得たとの印象を私は受けるのである。
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