資料
同意入院(精神衛生法33条)における管理者の義務権限について—東京地方裁判所,東京高等裁判所の判決をめぐって
元吉 功
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1明治学院大学社会学部社会福祉学科
pp.631-635
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201641
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I.はじめに
現行精神衛生法のなかで,保護義務者の同意による入院が人権保護の上で欠陥があり,この条項に関する人権侵犯事例,あるいは訴訟事件等,紛争の多いことは周知の事実である。日頃精神障害者の医療と保護の任にあたっている精神科医のなかには,このような問題について思いのほか無関心な人が少なくない。このことが,ひいては精神医療を歪める一因ともなっていると思われる。ここに提出する資料についても,精神科医として考えさせられる多くの問題を含んでいるが,とくに同意入院の場合の診断を管理者自らがなさねばならぬか否かの争いについて,下級審(宇都宮地裁,栃木支部および東京地裁)の判決を覆した東京高裁の判決は,われわれが案じていた問題であり注目されてよいと思う。東京地裁の判例については,既に筆者および宇佐美検事が詳報(日本精神病院協会報10号,1963年)してあるので概略にとどめ,東京高裁のそれについても,判決全文を掲載することは紙数がたりないので,主要部分にとどめることとした。
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