Japanese
English
研究と報告
音調テストによる分裂病家族の研究
A Study of Schizophrenic Families by the Sound Test
三須 秀亮
1
Shusuke Misu
1
1日本大学医学部神経科
1Dept. of Neuropsychiat., Nihon Univ. School of Med.
pp.305-312
発行日 1970年4月15日
Published Date 1970/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201600
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寛解状態に達した分裂病患者とその家族成員(父親・母親・同胞)に音調テストを施行しつぎの結果を得た。
1)分裂病患者と同胞はともに感情が良く正常範囲内にあった。
2)父親は平均的にみてテスト(Ⅰ,Ⅱとも)成績が家族中最も悪く,同じ年頃の対照正常者群との間に有意の差がみられた。
3)母親は総体的に同胞患者に次いでテスト成績が良かったが,テストⅡで対照正常者群と有意の差が認められ,詳細にみると問題があった。
さらに家族成員個々についてテストⅠならびにⅡの成績を合わせテスト結果が相似している家族だけを抽出し類型化を試みた結果,三つの類型が得られた。その特徴を述べると,
1)類型Ⅰ:父よりも母,母よりも同胞,同胞よりも患者,と成績は上昇線を示し父親が最も悪く,患者が家族成員中最も良い成績を示す型である。この類型11例中8例が女性患者の家族である。
2)類型Ⅱ:母親が良い成績を示す点が特徴である。しかしテストⅡで(知的要素の介入で)悪くなる。反面父親はテストⅠ(感情移入)で悪いがテストⅡで補っている。
3)類型Ⅲ:父親が良く母親が悪く,患者は直接的感情移入が良いのに知的解釈にいたって大きく歪んでしまう。この類型は3例だけであった。
最後にテスト施行と平行して面接したさいの印象と,テスト結果を照合した知見を述べた。
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