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特集 精神分裂病の家族研究
分裂病家族—テストにあらわれた家族内関係
Schizophrenic Family: Empathy and Mutual Understanding between Family Members Revealed by Two Special Tests
井村 恒郎
1
,
川久保 芳彦
1
T. Imura
1
,
Y. Kawakubo
1
1日本大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiat., Nihon Univ., School of Med.
pp.277-282
発行日 1966年4月15日
Published Date 1966/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200985
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I.序
分裂病家族の問題はいろいうな角度から研究されている。われわれは数年来,家族内の対人関係という面から分裂病家族の病態を明らかにしようと心がけてきた。けれども,ゆらい家族内の対人関係は,互いに人格の全面をもつて接触するという意味で全面的であり,相互のcommunicationは“肌”による文字どおりの接触から論理的な討論ないしは事務的な接渉にいたるまで,多くの水準で行なわれるものである。これらの全貌をとらえることは容易なわざではないし,それに加えて分裂病家族は閉鎖的傾向をもつので微妙な対人関係を知るのはきわめて困難である。われわれも,従来の方法に従つて家族訪問と家族面接による事例研究を行なつてはいるが,1事例の研究に数年を要している現状である。それゆえわれわれの研究は現在その途上にあつて総括的な報告をするにはほど遠いが,われわれは事例研究に並行して,対入関係の障害を推測することをめざした特殊なテストを用いているので,そのテスト結果を一応まとめて中間報告としたい。第1のテストは,言葉の音調に表出された感情を察する感情移入の能力を調べるテスト,すなわち,われわれのいう音調テストであり,第2のテストは,言葉を用いて対人態度を評価するICLを応用したもので,観念的な水準での家族間の相互理解を知ろうとしたものである。
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