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特集 心気症をめぐつて
第5回日本精神病理・精神療法学会大会シンポジウムより
主題演者
分裂病者の体感幻覚と心気状態について
Leibhalluzinationen und hypochondolische Zustände bei Schizopnrenen
竹内 直治
1
,
小田 庸雄
1
Naoji Takeuchi
1
,
Tsuneo Oda
1
1信州大学医学部神経精神医学教室
1Die Neurologische und Psychiatrische Universitätsklinik Shinshu
pp.361-365
発行日 1969年5月15日
Published Date 1969/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201475
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I.はじめに
体感異常と心気症状とは密接な関連にあり,程度の差はあれ,一般に体感異常を訴える病者は多くは心気的であり,また心気的な病者には何らかの体感異常が認められる。Huberはこのような両者の関連を強調するかのように,元来フランス語圏内のcénésthesieの概念をLeibhypochondrieと同義に解し,leibhypochondrische Schizophrenieなる名称を分裂病の一型として与えた1)。このような背景から,本日の《心気症》に関するシンポジウムも分裂病の心気状態やセネストパチーをも含めて論じようとするのであろう。これに対して批判がないではない。HuberならびにWeitbrecht2)らは,この種の分裂病者にはLeibgefühlの障害が原発性にあり,心気的な態度が根本ではないとし,それゆえ,この種の分裂病をhypochondrischと表現するのはHypochondrie本来の意味から本当は適切でないとも述べている。しかしJanzarik3)は神経症などによくみられるregressive Hypochondrieに対して,たとえば分裂病などの体感幻覚に伴う心気状態をkonstruktive Hypochondrieとして対置させながら,神経症と内因性精神病における心気症状を一貫して考察しようとしている。
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