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研究と報告
向精神薬の副作用に対する抗パーキンソン剤の効果—続効性trihexyphenidyl-HCl(アーテン-SR)について
Effects of trihexyphenidyl hydrochloride (Artane Sustets) on the side effects of the phenothiazine treatments
大熊 輝雄
1
,
石野 博志
1
,
竹尾 生気
1
,
本池 光雄
1
Teruo Okuma
1
,
Hiroshi Ishino
1
,
Seiki Takeo
1
,
Mitsuo Motoike
1
1烏取大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuro-Psychiat., Tottori Univ. School of Med.
pp.265-274
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201461
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I.はじめに
trihexyphenidyl-HCl(アーテン)は1949年にLederleの研究所で合成され,海外ではこのころから,わが国では1953年(昭和28年)ごろから臨床面にもちいられてきた。最初はもつぱら脳の器質性病変にもとづくパーキンソン症状群に対して使用され,その臨床効果が報告されている(Doshayら1949,Corbin 1949,Effronら1950,Doshayら1954,梅原ら1954,松永ら1957,田中1958,秋元ら1901,Burnsら1964)。
しかし,その後,精神科領域にchlorpromazineその他の向精神薬が導入されて以来,とくにその大量療法の場合にパーキンソン症状群や自律神経症状などが随伴症状として出現することが多くなり(久保 1957,Ayd 1961),この不快な副作用の軽減および予防のためにも,この種の抗パーキンソン剤が使用されるようになつた。わが国でも,すでにbiperiden-HCl(森ら1964)やthioxanthene-HCl(後藤ら1966)などが,phenothiazine誘導体の投与によつて起こる錐体外路症状の治療に有効であることが報告されている。しかし著者らが調べたかぎりでは,本邦では向精神薬療法のさいに出現する副作用に対してtrihexyphenidyl-HCl(アーテン,以下THPと略称)がかなり広くもちいられているにもかかわらず,その効果の詳細な検討の結果はいまだ報告されていないようである。
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