増刊号 内科医が使う薬の副作用・相互作用
神経・筋疾患薬
抗コリン作動薬(アーテン,アキネトン,パーキン)
山田 人志
1
1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター神経内科
pp.270-271
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909037
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抗コリン薬はParkinson病治療薬として最も古い歴史があり,19世紀中頃より利用されている.現在使用されている抗コリン薬は1940年代後半に開発されたもので,中枢性抗コリン作用の強いものである.治療薬の中心がレボドパからドパミンアゴニストに移ってきた現在でも,発症初期の静止時振戦を主症状とする比較的若いPar—kinson病患者に対しては,first choiceとして使用されることがある.また,抗コリン薬が著効し,他剤では効果が期待できないParkinson症候群の例もある1).
大脳基底核における神経伝達において,ドパミンとアセチルコリンの間に均衡関係があると考えられている.コリン作動薬はParkinson症状を悪化させ,抗コリン薬はその症状を改善させることが示されてきている.Parkinson病における抗コリン薬の正確な作用機序は不明であるが,本疾患では黒質線条体ドパミンニューロンの機能低下によって,線条体コリン作動性ニューロンが機能亢進状態にある.したがって,その線条体コリン作動性ニューロンを抑制することにより,不均衡になった両ニューロンを是正することで治療効果を発揮すると考えられている.
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