Japanese
English
研究と報告
15歳までに発症した離人症の6例
Six Cases of Depersonalization Developed before the Age of Fifteen
清水 将之
1
,
坂本 昭三
2
,
石神 互
2
,
辻 悟
2
,
金子 仁郎
2
Masayuki Shimizu
1
,
Syozo Sakamoto
2
,
Wataru Ishigami
2
,
Satoru Tsuji
2
,
Ziro Kaneko
2
1大阪府立中宮病院
2大阪大学医学部付属病院石橋分院精神神経科
1Nakamiya Hospital
2Dept. of Neuropsychiat., Ishibashi Branch Hosp., Osaka Univ. Med. School
pp.401-406
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201337
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Ⅰ.緒言
離人症は10代の後半より20代にかけての世代に発症する症例が多く,それ以前の世代で発症することはきわめてまれであると考えられており,K. Oesterreich10),K. Hadg2)らは少年期に本症が発症することはないといつている。文献中の症例記載としては,D. J. Salfield9)の7歳より15歳にかけての5例,J. E Meyer7)8)の13歳より15歳にかけての4例,K. Haug2)の10歳の1例,L. Kanner4)の14歳の1例,Geissler1)およびA. Hesnard3)の15歳の各1例を見る程度である。てれらの症例に対する診断名は,「精神衰弱」,「ヒステリー」,「ヒステリー加工された離人症」,「軽症内因性うつ病」等等,さまざまである。また,これらの症例における離人症状の記載はあいまいなものが多く,とくにSalfieldの症例3,4やHaugの症例5の症状記載ははたして離人症状であるのか否かはなはだ疑わしい。
ここに2つの問題があると思われる。その一つは症候論の問題であり,若年者の場合には,狭義の離人症状と離人症状類似の訴えとを厳密に区別しなければ,問題の焦点を見失うおそれがあるということである。他は,上述のごとき諸症例が一単位疾患としてとらえうるものであるのか,それとも単に随伴症状としての離人症状を認めたにすぎないものなのかという疾病学の問題である。
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