特集 うつ病の臨床
第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
指定討論
諸治 隆嗣
1
1北大精神科
pp.991-994
発行日 1966年12月15日
Published Date 1966/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201120
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私どもの教室においては,情動との関連において,下垂体副腎皮質系を中心に内分泌機能の変動を力動的にとらえようとこころみてきました。その目的は特定の疾患の内分泌学的な変化を対象とするのではなく,個々の症例について,臨床像との関連に留意しながら継時的にhomeostasisの動態を追求するという方法をもちい,疾病学的な立場を離れて精神生理学的に情動と生体反応との関連を検討することにありました。その結果,精神症状の変化と一致して,それらの機能が高度かつ広範囲な変動を示すことが認められ,またその変動の大部分が特定の疾患に限定されたものではなく,情動の動きによる生体の非特異的反応であることが知られました。すなわち伊藤,吉村が行なった性腺機能の面をとりあげてみますと,まず男性では,正常の場合Gonadotropinは安定した値をとりますが,うつ状態ではときには高値を示したり,低値となったりし,バラツキが認められています。また躁状態についても同じようなことがいえます。しかし状態が改善されてきますと,いずれの場合も正常範囲内で安定した値を示すようになっております。女性では,正常の場合,月経周期に応じて,Gonadotropin,Estrogens,Pregnanediolが一定のパターンを示します。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.