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特集 精神医療体系のなかでの精神病院の位置づけ
精神病院の機能とその限界
第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
精神病院におけるホスピタリズムとその予防
The Hospitalism and its Prevention in Psychiatric Hospitals
岡庭 武
1
T. Okaniwa
1
1国立武威療養所
1National Musashi Research Institute of Mental and Nervous Diseases
pp.536-540
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201030
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I.はじめに
精神病者の治療の最終目的は,当然患者を社会人としての社会内存在とすることであつて,保護,収容は一時的現象にすぎぬ。この観点から命題の「ホスピタリズム」を広義に解釈し,社会復帰,早期退院を阻害するものは何か,あるいは非社会化するものは何かを考察したい。
われわれは,患者からよく「期限のない牢屋に入れられたようなものだ」と聞かされる。患者は非常に長期間入院しており,そのなかでの人間関係は稀簿,単純,生活空間は狭小である。精神病者の入院者,なかでも慢性分裂病患者は自閉への指向性を有するがゆえに,ますますこの閉鎖社会に安住する。一方われわれもその「保護」から,病院になれることを期待する態度をとつてきた。
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